和菓子

桜餅の「葉っぱ」

桜餅シリーズ第3弾!
先日レポートした「長命寺」「道明寺」の桜餅。どちらにも共通するのが桜の葉の塩漬けで包んであること。少し塩気があって独特の風味をどちらの桜餅にも与えています。
食べる派、食べない派もいる、桜の葉っぱ。気になってしまったのでちょっと調べてみました。
 

桜の葉について

現在、隅田川沿いを彩るソメイヨシノ、江戸時代は存在していませんでした。江戸時代「花見」といえばヤマザクラ。当時の隅田川の桜もヤマザクラだったので、その葉が桜餅に利用されていました。
しかし、今、主に使われているのは、やわらかくて毛が少ない「大島桜」。葉が大きく、塩漬けにすることで生まれる「クマリン」という芳香成分が多いので、独特の風味をより醸し出すからです。生の葉にはあの香りはなく、この塩漬けの葉で包むことで、桜餅に桜の香りや塩気がついておいしくなるのです。

<桜の葉の故郷>sakuraleaf
現在、桜餅に使われている桜の葉の7割は、伊豆半島の西側にある「松崎町」で生産されています。
農家の「桜畑」には、1メートルほどのオオシマザクラがズラリと植えられ、新芽が成長した5月上旬に手で1枚1枚葉を摘む作業が始まります。その桜の葉は、高さ・直径共2メートルの「三十石たる」の中で塩漬けにされます。この巨大な樽の中で6ヶ月間塩漬けされた後、真空パックで詰めて各地に配送されていきます。
確かに、私が購入した桜の葉の塩漬けも松崎町産でした。

桜餅の葉っぱは食べる?食べない?

この葉っぱ、桜餅と一緒に食べるか、食べないか、は意見が分かれるところですね。
昔、関東は薄い葉を使うため食べる、関西は厚いので食べない、という説もあったみたいですが、現在はほとんど「オオシマザクラ」の葉を塩漬けにしたものなので、もちろん食べられます。(ただ、クマリンには肝毒性があるので多量に食べる場合はご注意ください。)

お店の方のご意見を聞くと・・・。
「桜の葉のしょっぱさが、あんこの甘さを一層引き立たせるんです。“通”の方はそう言って召し上がります」とのお話や、「お好み次第ですが」の前置きと共に、「桜もちに桜葉の香りは移っているので」と残すことを勧められることも。

ちなみに、「長明寺」の発案者となった「長命寺桜もち 山本や」の桜餅は、大きめの葉2~3枚で包んであり、香りが餅に移っているので、葉を外して食べるのがおすすめだそうです。(写真:長命寺桜餅)

どうやら特に決まりごとはなく、桜餅にもいろいろなタイプがあるので、それぞれの好みで食べればよいようです。
ご自分がはおいしい!と思う食べ方が一番ってことですね