いったい老後の資金はいくら必要なのか?
計算してみたら、こんな金額がでてきた・・・。驚きである。
・持ち家で会社員の夫婦共働き:0円
・賃貸で自営業の夫婦2人:7,700万円
50歳を過ぎて、ちょっと気になり始めてきた老後のこと。
なんとかなるでしょ。と40代のころは、ポジティブな無関心でいられたのものの、年金加入が受給できる25年を超えて、毎年届く年金定期便。
『あなたの65歳からもらえる年金見込額はこれです。』
という金額を目にして、これが思ったより少なかったことで、急に無関心ではいられなくってきた・・・。人ごとではない。
気になりはじめると、そういう情報は耳に入ってくるもので、
『老後資金は1億必要』とか、
『60歳までに5千万』とか、
『1千万でも大丈夫』とか。
いったい、老後はいくらお金が必要なのか? 65歳までにいくらお金を蓄えておけばいいのか?
そうは言っても、老後にかかるお金なんて人それぞれで、もらえる年金、家族や、住んでいる場所、持ち家、賃貸?、状況でまったくちがってくるはず。
誰もが憧れる『ゆとりある老後』といっても様々だし、結局は、『自分は老後にどんな生活がしたいか?』 であって、それ次第でまったく必要な資金は変わってしまう。
でも、まずは、基本的なことがわからないと、自らのシミュレーションさえもできない。
基本的なことを整理してみた。
目次
『かかる支出』と『もらえる年金』はいくらか
まず、整理したのはこの2つ
1. 65歳から死ぬまでに必要になるお金(支出)はいくら?
2. 公的年金(収入)はいくらもらえるのか?
単純に考えれば、1から2を引いたものが、老後のために用意しておかなければならないお金(老後資金)。
『1.総支出』ー『2.年金』= 必要な老後資金
もし、この時点で不足していないのなら、ひとまず安心。
ちなにみ、今、年金がもらえるのは65歳からだけど、少しずつ年齢が引き上げれるという話もでているようで、50歳の自分がもらえる15年後には、もしかしたら70歳になっているかもしれない・・・。
そして、計算するためには、前提条件を2つ。
1. 何歳まで生きることにするか?
何歳まで生きるかは自分で決められることではないけど、長生きすればするほど、お金は必要になるわけで、設定は必要だ。
平均寿命プラス5歳 としてみると、
2016年の日本人の平均寿命は、
男性:80.98歳
女性:87.14歳
プラス5歳なので、夫婦が同じ年齢なら、
夫:86歳<65歳から21年>
妻:92歳<65歳から27年>
夫は21年分、妻は27年分の老後資金が必要になるということ。
2. 65歳まで働くか、60歳でやめるか?
60歳で働くことをやめると、年金がもらえる65歳までの5年分の支出をまかなう資金が必要になってしまう。これは大きい・・・。
最近は定年が65歳まで延びている会社も増えているので、65歳まで働くことにする。
65歳以上の月の平均支出は14.8万円
前提条件が決まったら、支出の算出。
『支出』を計算するのは、まさに、『自分の老後はどうのような生活したい?』によって変わる部分。
毎年、海外旅行いって、クルマは外車。毎週レストランでおいしいもの食べたい人と、海外旅行もクルマも興味ないという人ではまったくちがってくる。
総務省には毎年の家計調査で『65歳以上の毎月の平均支出』というデータがでていた。
2017年の平均支出はこちら。↓
・夫婦2人:24.8万円
・単身(独身):14.8万円
(千円以下、四捨五入)
平均支出の内訳はこちら。↓
<65歳以上の支出(毎月)> | 夫婦の場合 | 単身の場合 |
---|---|---|
消費支出 | 247,701円 | 148,358円 |
< ▼内訳 > | ||
食費 | 70,058円 | 36,604円 |
住居 | 14,853円 | 15,372円 |
光熱・水道代 | 21,635円 | 12,928円 |
家具・家事用品費 | 10,273円 | 6,195円 |
被服・履物費 | 7,465円 | 4,341円 |
保健医療費 | 14,995円 | 8,167円 |
交通・通信費 | 28,524円 | 14,370円 |
教育費 | 458円 | 0円 |
教養極楽費 | 24,541円 | 17,546円 |
その他 | 54,898円 | 32,834円 |
交際費 | 25,315円 | 18,232円 |
仕送り金 | 1,784円 | 743円 |
2017年 家計調査年報(家計収支編)より
http://www.stat.go.jp/data/kakei/2017np/gaikyo/index.html
まずは、目安として、この支出額で計算してみるのだけど、注意したいのは『住居』のところ。
内訳では15,000円程度になっているが、この支出は『持ち家』でローンも完済している場合、持ち家の場合は、65歳以降にもローンの残高がある場合は返済額、賃貸の場合は家賃をもり込んでおかないといけない。
会社員平均の月の公的年金は14.6万円
年金がいくらもらえるのかも人によって様々。厚生年金(会社員)なのか、国民年金(自営業)のみなのか、加入月数、もらっている給与額などで大きく違ってくる。
ちなにみ、厚生労働省の資料では平均の年金受給月額はこれ。
・会社員(厚生年金):14.6万円
・自営業(国民年金):5.5万円
14.6万には国民年金(老齢基礎年金含む)も含まれている額。平均の給与月額が30〜35万ぐらいで40年加入しているとこのくらいの支給額。
厚生年金保険・国民年金事業の概況:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106808_1.html
単身(独身)と夫婦2人で平均受給額を使ってらえる年金を計算してみる。
<公的年金受給額の月額> | 会社員(厚生年金) | 自営業(国民年金) |
---|---|---|
単身(独身) | 14.6万円 | 5.5万円 |
夫婦2人 | 20.1万円 | 11万円 |
夫婦共働き | 29.2万円 | 11万円 |
平均なのに会社勤めの夫婦共働きと、単身の自営業とでは、もらえる年金の差がスゴい・・・。
・単身(独身)自営業の年金月額:5.5万円
・共働き会社員の年金月額:29.2万円
自分がもらえる年金の見込額がいくらなのか? 日本年金機構から毎年送られてくる『ねんきん定期便』をしっかり確認してみたほうがいい。
老後の資金を計算してみた。驚きの差が!
老後に必要な資金をこの前提条件で計算してみた。
<前提条件>
・65歳まで働く
・平均寿命+5歳まで生活した場合(夫:65歳から21年、妻:65歳から27年)
・夫婦は同じ年
・支出は65歳以降の平均支出より
・年金は平均受給額より
【持ち家(65歳までにローン完済)の時】の必要な老後資金
毎月の平均支出と、それぞれの平均年金受給額から、毎月の不足額を計算する。
<毎月の不足額> | サラリーマン(厚生年金) | 自営業(国民年金) |
---|---|---|
単身(独身)の男性 | ▲0.2万円 | ▲9.3万円 |
単身(独身)の女性 | ▲0.2万円 | ▲9.3万円 |
夫婦2人 | ▲4.7万円 (22年目以降▲9.3万円) |
▲13.8万円 (22年目以降▲9.3万円) |
夫婦共働き | +4.4万円 (22年目以降▲0.2万円) |
▲0.2万円 (22年目以降▲0.2万円) |
毎月の不足額に、男性:86歳までの21年分、女性:92歳までの27年分を計算する。夫婦の場合は、夫婦で21年+妻のみで6年分。
計算してみると持ち家時の『老後に必要になる資金』はこうなった。(10万単位は繰り上げ)
<老後必要資金> | サラリーマン(厚生年金) | 自営業(国民年金) |
---|---|---|
単身(独身)の男性 | 100万円 | 2,400万円 |
単身(独身)の女性 | 100万円 | 3,200万円 |
夫婦2人 | 2,000万円 | 4,300万円 |
夫婦共働き | 0円 | 4,300万円 |
【賃貸の時】の必要な老後資金
賃貸の場合も同様に、毎月の平均支出と、それぞれの平均年金受給額から、毎月の不足額を計算する。
※家賃:単身8万、夫婦10万を想定。
<毎月の不足額> | サラリーマン(厚生年金) | 自営業(国民年金) |
---|---|---|
単身(独身)の男性 | ▲8.2万円 | ▲17.3万円 |
単身(独身)の女性 | ▲8.2万円 | ▲17.3万円 |
夫婦2人 | ▲14.7万円 (22年目以降▲19.3万円) |
▲23.8万円 (22年目以降▲19.3万円) |
夫婦共働き | ▲5.6万円 (22年目以降▲10.2万円) |
▲23.8万円 (22年目以降▲19.3万円) |
毎月の不足額に、男性:86歳までの21年分、女性:92歳までの27年分を計算する。夫婦の場合は、夫婦で21年+妻のみで6年分。
賃貸時の『老後に必要になる資金』はこうなる。(10万単位は繰り上げ)
サラリーマン(厚生年金) | 自営業(国民年金) | |
---|---|---|
単身(独身)の男性 | 2,100万円 | 4,400万円 |
単身(独身)の女性 | 2,800万円 | 5,900万円 |
夫婦2人 | 5,400万円 | 7,700万円 |
夫婦共働き | 2,300万円 | 7,700万円 |
老後必要となる資金にもコワいひらきが・・・。
持ち家で会社勤めの独身、共働きは余裕。賃貸で自営業の夫婦はしっかりした準備が必要そうだ。
・持ち家で会社員の夫婦共働き:0円
・賃貸で自営業の夫婦:7,700万円
平均の支出と年金額を使った簡単な計算だけでも、ライフスタイルでこれだけ必要な資金は変わってくる。
サラリーマンでも夫が予定より早く亡くなった場合は、妻の年金が減ることになるし、もし、受給開始の年齢が引き上げられたら必要な資金が根本的に変わってしまう。
50代になったら、できるだけ早めに一度は自分でシミュレーションしておきたいもの。
50代からの人生をもっと愉しくするために。