お金のこと

年金受給開始は【何歳】からが得なのか? 60歳?65歳?70歳?

50歳アラフィフになると、老後に資金のことが気になりはじめる。年金をもらう年齢をいつにするかは、老後の計画に直結すること。

今、年金の受給開始は原則65歳。でも、60歳〜70歳の中で開始時期を選ぶことができる。
ならば、早くもらっておいた方がお得だよね? となるけど、そこはしっかり考えられている・・・。

早くもらえば減額、遅くもらうと増額

年金の受給開始は、原則の65歳を基準に前倒し(繰上げ)すると減額され、後ろ倒し(繰下げ)すれば増額となる。

それぞれの減額、増額率はこんな感じ。

開始時期による増額、減額率

65歳以降:【0.7%×月数】の増額
65歳より前:【0.5%×月数】の減額

ぱっと見た感じ、ピントこない数字だけど、計算してみると月数でこれがすごい差になってくる。

老齢基礎年金の繰上げ受給
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20150313.html

老齢基礎年金の繰下げ受給
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-06.html

70歳から受給開始にした場合42%も増額

原則65歳から60ヶ月後ろ倒し(繰下げ)にしたことになるので、
0.7% × 60ヶ月 = 42%増額

月額20万の年金をもらっている場合、28.4万に増額される

60歳から受給開始にした場合30%も減額

原則65歳から60ヶ月前倒し(繰上げ)にしたことになるので、
0.5% × 60ヶ月 = 30%減額

月額20万の年金をもらっている場合、14万に減額される

その差はなんと14.4万、60歳と70歳からでは単純に倍以上違うことになってしまう。
もちろん、繰上げ、繰下げの時期は、60歳や70歳だけではなく、月単位で選択できる(繰下げは66歳から)ので、63歳や、67歳からの開始にもできる。

この増額、減額はある期間ではなく、ずっと続く。
60歳から減額してもらい始めてしまったら、最後まで減額された14万ということ・・・。

でも、70歳に後ろ倒し(繰下げ)した場合、毎年の年金額は増えるものの70歳まではもらえないわけだから、それまでの生活資金を確保しておく必要がある、また、70歳から何年もらえるか(何年生きるか)によっては、年金総額で60歳からもらっている方が多くなってしまう。

前倒し(繰上げ)した方がいいのか、後ろ倒し(繰下げ)した方がいいのか、原則の65歳がいいのか・・・。
計算してみることにした。

65歳からよさそう? 受給開始別の受給総額

計算する受給年金額は厚生労働省の資料にある平均の年金受給額を使ってみる。

平均の年金受給月額

会社員(厚生年金):14.6万円:国民年金(老齢基礎年金含む)
自営業(国民年金):5.5万円

厚生年金保険・国民年金事業の概況:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106808_1.html

夫が会社員、妻専業主婦の場合の年金額は、
20.1万円(14.6万円+5.5万円)

50歳アラフィフの自分が年金をもらう場合、60歳から前倒し(繰上げ)できるのは、国民年金(老齢基礎年金)の部分だけ、厚生年金(老齢厚生年金)は65歳は前倒し(繰上げ)できないので、国民年金(老齢基礎年金)のみ前倒しした場合を想定してみる。

①夫、妻の国民年金(老齢基礎年金)のみ60歳から受給開始
②65歳から受給開始
③70歳から受給開始

年齢時の受給総額
(千円以下四捨五入)
①60歳から ②65歳から ③70歳から
61歳時 92万 0 0
66歳時 664万 241万 0
71歳時 1,672万 1,447万 343万
76歳時 2,680万 2,653万 2,055万
77歳時 2,881万 2,894万
60歳開始超
2,398万
78歳時 3,083万 3,136万 2,740万
79歳時 3,284万 3,377万 3,083万
80歳時 3,486万 3,618万 3,425万
81歳時 3,688万 3,859万 3,768万
60歳開始超
82歳時 3,889万 4,100万 4,110万
83歳時 4,091万 4,342万 4,453万
65歳開始超
84歳時 4,292万 4,583万 4,795万
85歳時 4,494万 4,824万 5,138万
86歳時 4,696万 5,065万 5,480万
91歳時 5,704万 6,271 7,193万
96歳時 6,712万 7,477 8,905万

60歳受給開始は、77歳で65歳開始に総額が抜かれ、81歳で70歳開始に抜かれる。
65歳受給開始は、83歳で70歳開始に総額が抜かれる。

グラフにしてみるとこんな感じ。

60歳受給開始が、77歳で65歳受給開始に抜かれることを考えると、資金を確保した上で65歳から受給した方がよさそうに見える。
70歳受給開始は、81歳、83歳の平均寿命あたりで逆転するので微妙な選択。もし90歳まで長生したとすると60歳開始より約1300万、65歳開始より約800万も多くもらえることになるけど、75歳で亡くなった場合は、約700万も少ない。まさに長生きすることが前提の開始年齢。

実際は6割が65歳からもらっている

先輩方は実際どうしているのか? 厚生労働省の資料で、受給年齢の繰上げ、繰下げしている割合を見てみると、

受給繰上げ、繰下げ状況

繰上げ受給:34.1%
65歳から受給:64.5%
繰下げ受給:1.4%

表 24 国民年金 老齢年金の繰上げ・繰下げ受給状況の推移:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf

なんと、65歳以降に繰下げ受給している割合は、たった1.4%
そして、不利に感じる65歳より前の繰上げ受給は、34.1%もにもなっている・・・。

老後資金不足なのか、もらえるものは早くもらう。なのかわからないけど、現実は厳しいということ?

アラフィフになったら、年金を何歳からもらうかを早めに決めた上で、老後の資金計画をしておきたいもの。
50代からの人生をもっと愉しくするために。